2013年10月11日金曜日

2012年度 住宅相談と紛争処理の状況

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターから2012年度の「住宅相談と紛
争処理の状況」が発表されています。

同センターの2012年度における<相談件数>は新規件数で20,584件(前年度比
0.5%増)で、うち「新築住宅に関する相談」は13,266件(3%減)、「リフォ
ームに関する相談」は7,318件(8%増)となっており、リフォームに関する相
談が増えています。新規件数は2002年の7,183件に比べ10年間で急増し約3倍と
なっており、クレームの問題が当事者間から、第三者の関与を求める方向へと
変わりつつあるようです。

相談者の解決希望内容の第1位は「補修」が54%と半数を超えていますが、第2
位「損害賠償」11%、第3位「契約解消」9%と、金銭による解決を望む相談も
上位を占めています。また、「工事代金関係」5%では、消費者からは<工事代
金を払いたくない・減額してほしい>、事業者からは<工事代金を支払ってほ
しい>と、当事者双方からの相談も上位を占めます。

消費者の同センターへの相談のきっかけは、<不具合が生じている>65%、<
契約と工事の内容が異なる>40%とが大きな要因となっています。

不具合が多く見られる部位は、戸建住宅では、第1位「外壁:雨漏り・ひび割
れ」20%、第2位「床:床鳴り・変形」20%、第3位「屋根:雨漏り・はがれ」
17%となっており、雨漏りのクレームが依然として多いことをしめしています。

消費者がリフォームをする際に、見積書を取得した事業者の数では「1社」が
56%、「2社」22%、「2社以上」22%となっており、「1社」しか見積もりを
取らない消費者が多いとしています。インターネットなど消費者の情報入手手
段が格段に増えており、<相見積>が一般的と思われがちですが、実態は少し
違うようです。そして、紛争処理支援センターへの見積もり相談では、「単価
や合計金額が適正か」90%、「工事内容・工事項目は適正か」63%と、消費者
は、見積もり金額や工事内容に疑問・不安を持っていることが分かります。

また、同センターは住宅品質確保法(品確法)に基づく評価住宅の紛争処理を
支援する業務を行っていますが、制度開始後の申請受付件数は496件で、ここ3
年間で毎年30件近く増加しています。

評価住宅では「戸建注文」が51%、「戸建分譲」が17%と戸建住宅関係が70%
近くに上がっています。引き渡しから紛争処理申請までの期間は、全体の85%
が「3年未満」となっており、「1年以上2年未満」30%も高い数字となってい
ます。

紛争処理の争点となった主な不具合事象は戸建住宅では、「ひび割れ:基礎・
外壁」21%、「変形:開口部・建具・床」11%、「汚れ:床」9%で、ついで
「はがれ」、「雨漏り」と続きます。

紛争処理に要した期間で最も多かったのが「3か月以上6か月未満」34%で、平
均では6.8ヶ月となっています。審理回数では「5回」までが64%と最も多く、
平均では4.8回となっていますが、11回を超える審理も4%あります。

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターに持ち込まれる、相談件数や評
価住宅での紛争処理支援件数の増加は、長く慣例として当事者間で行われてき
たクレーム等の解決が消費者の意識も変わり、第三者の公正な意見を求めるよ
うになってきています。
いずれにしても、クレームは内容が煩雑で、解決まで<時間・人・費用>が掛
かります。消費者には日頃からの、不安・疑問の解消への丁寧な説明、分かり
易く明解な見積書、しっかりした現場管理と適正な施工、そして何よりも充分
なコミュケーションが大切です。


ReN空間創造プロジェクト