2014年9月23日火曜日

子どもの家庭内事故(2) 6割の事故は目の前で

事故を防ぐための注意点は
(独)産業技術総合研究所の山中先生(緑園こどもクリニック院長)は、子供の事故の実態について、この白書の中で次のように述べています(要旨)。
1960年以降、0歳を除いた子供の死因の第一位は“不慮の事故”です。14歳の年齢層では不慮の事故による死亡1件に対し、入院を必要とする事故は40件、外来受診が必要な事故は4,000件と推定されています。3歳未満の子どもでは8割の保護者が子どものそばにいて、6割は見ている眼の前で事故が起きており、すなわち<事故は必ず起こる、ひょっとしたらうちの子にも>と考える必要があります」としています。そして「事故の予防に取り組む時は、自分の子どもの月齢、年齢で起こりやすい重症度が高い事故、発生頻度が高い事故を知って、それに対して前もって予防策をとる必要があります」と保護者の意識を喚起し、助言しています。

     子どもを高さのある場所に乗せたら目を離さない。柵や囲い等で転落を防ぐ。
     入浴中は子どもから目を離さない。入浴中以外でも、子どもを浴室に簡単に近づけない。
     火や電気器具等のやけどを負う危険があるものには子どもを近づけない。
     たばこや電池等は子どもの手に触れるところに置かない。
     商品選びを工夫し、子ども向けの安全性の高いものや、使いやすい商品を選ぶ。

転落に対しては、階段を上らないように柵を設けるとか、ベットの柵は常に立った状態にして置くとか、誤飲しやすい小さなものは1m以上の高さにおくとか、保護者として少しの意識で子供の事故は減らせます。


また白書は、子どもは日々成長・発達し、昨日できなかったことが今日出来るようになり、その過程では「必ず事故は発生すると言うことを理解すること」としています。まず、子どもの事故は起こるものと考え、過去の事例を参考とし、家庭内の環境整備を整え予防策を立てることがとても重要としています。



2014年9月22日月曜日

子どもの家庭内事故(1) 7割が住宅内で

「平成25年版消費者白書」によれば、消費者庁と国民生活センターが共同事業として行っている「医療機関ネットワーク事業」に参画する13医療機関での、子どもの事故の事故のデータがあります。
201012月から201212月までの約2年間で、9,889件の事故です。年齢別では12歳以下の事故情報7,997件のうち、事故発生場所が「住宅内」が5,390件と約7割をしめています。

住宅内事故の年代別では0歳以上2歳未満の事故が2,645件(49.0%)、2歳以上6歳未満が2,147件(39.8%)、6歳以上12歳未満が598件(11.0%)と、0歳から2歳にかけての家庭内事故が約5割に達しています。

子どもの家庭内事故の特徴

子どもの成長・発達段階により知能や身体能力の差が大きいため、事故の傾向も変わってきます。
0歳から2歳未満では、目についたものを口に入れてしまう「誤飲・誤嚥」が509件(19.2%)なのに対し、2歳以上6歳未満では213件(9.9%)、6歳以上12歳未満では37件(6.2%)と、年代ごとにその割合が減少しています。主なものはタバコや電池等の誤飲です。
一方、「ぶつかる・当る」ことによるけがの割合は、年齢が高くなるにつれ徐々に高くなっています。主な事例は、部屋の中で転送して机やテーブルにぶつかるケースです。

     0歳以上2歳未満の主な事例
・階段、ベッド、ソファ等からの転落
・家電類、暖房器具、食品等でのやけど
・風呂場での転倒・溺水
・タバコ、電池等の誤飲・誤嚥

     2歳以上6歳未満の主な事例
・階段、ソファ等からの転落
・居室、浴室での転倒・溺水
・ぶつかった、当った、接触したことによるけが
・玩具等の誤飲・誤嚥

     6歳以上12歳未満
・ぶつかった、当ったことによるけが
・階段、浴室等での転倒の主な事例
・階段、椅子、ベッド等からの転落

・食料品、暖房器具等によるやけど 



続きは明日掲載します。


2014年9月18日木曜日

高齢者の家庭内事故(2)  重症化傾向

事故を防ぐための注意点は
高齢者に事故の起こりやすい背景として、東京都健康長寿医療センターでは「Dual Task障害=2つの動作を同時に行う事の困難」をあげています。何かの動作中に他のことに注意を向けることが難しい場合には転びやすい傾向があります。75歳以上の年齢層では、男女ともに骨の構造が弱くなって骨量が減少してきます。転落・転倒で骨折しやすい状態となり、横に転ぶと大腿部頸部骨折が起こり、手をついて衝撃を避けると利き手の親指側の手首に骨折を起こすことがあります。高齢者は一度骨折を経験すると、外出を控えるようになり活動性が落ちてしましがちで、転倒を予防する事は重要なことです。

     階段には手すりや照明器具を設置し、階段周りには物を置かない。
     高所での作業は1人では行わない。
     食事の際は適量をゆっくりと食べることを意識する。また、飲料をまち違いやすい液体などは手の届くところに置かない。
     火を使うときは衣類の袖や裾に注意する。
     浴室と脱衣所の温度差を減らし、湯温が高すぎないよう管理する。
     高齢者向けの商品選びを工夫する。

また、家庭内のバリヤフリーでは段差解消として、床は段差なしが良いとされてきましたが、最近では下肢の筋力をつけるため、多少の足の上げ下げができる程度の段差があったほうが良いとの意見も増えてきています。
居住者の身体状況に合わせてのバリヤフリーを考える事が大切と言えます。




2014年9月17日水曜日

高齢者の家庭内事故(1)  重症化傾向

「平成25年版消費者白書」によれば、消費者庁と国民生活センターが共同事業として行っている「医療機関ネットワーク事業」に参画する13医療機関での、高齢者の事故のデータがあります。
201012月から201212月までの約2年間で、高齢者の事故情報は669件です。

20歳以上の事故の発生場所は「住宅」での発生が一番多く1,203件で、全体の7割を超えており、家庭内事故は大きなウェイトを占めています。
年代別では、65歳未満が71.4%、65歳以上は77.1%とあまり差が見られませんが、65歳以上の事故の重症化している傾向が見られます。20歳以上65歳以下では「重症・重篤・死亡」が1.6%ですが、65歳以上では7.2%と約4.5倍となっています。
さらに高齢者のうち75歳未満、75歳以上に分けて危害の程度を見ると、「重症」以上は4.6%ですが、75歳以上では8.5%であり約2倍となります。

高齢者の家庭内事故の特徴では
     階段等からの転落、転倒
「転落」30.4%、「転倒」22.1%の順で、中でも「階段」によるけがが最も多く、具体的には階段の段差でつまずくなどです。また、足がもつれて家具にぶつかる、ベットから降りるとき、靴下が引っ掛かる、バスマットやじゅうたん、毛布などに足をとられる、風呂場の段差で滑るなど日常的な行動の中で事故が起きています。

75歳未満では「転倒」は8.5%ですが、75歳以上になると29.1%と飛躍的に転倒事故
が増えています。高齢になるほど下肢の筋肉の衰えや、何かの動作中に別のことに注意を向けることが難しい場合に転倒しやすくなっています。
     屋外作業中の転落
「階段」による事故以外では、庭木の剪定作業や、屋根の雪下ろし等での脚立やはしご等からの転落事故で、重大事故につながり死亡事故も発生しています。
     食料品の誤飲・誤嚥
「誤飲・誤嚥」は48件あり、うち2件は死亡事故。誤飲はむすびや食パンなどを喉につまらせた事故が主ですが、除草剤や漂白剤の薬品類、薬の包装紙の誤飲もありました。
     着衣着火でのやけど
「熱傷」は69件ありそのうち「着衣着火」は11件(15.9%)で1件は死亡事故。仏壇のローソクの火や、ガスコンロの火から着衣があり、消火が遅れると重症化するケースが多くなります。
     風呂場での転倒・やけど

風呂場の事故は10件で、そのうち転倒が7件、「熱傷」は1件だが「重症」でした。 


続きは明日を御覧ください。


2014年9月12日金曜日

秋のハウスダスト

秋のハウスダストには秋に飛散する花粉と、夏場に繁殖したダニが死骸となり乾燥し粉末となるケースが多くなります。

暑かった夏も急速に遠のき朝晩過ごしやすくなり、秋の訪れがすぐそこまで来ています。しかし、この秋にもアレルギーの原因ともなる花粉が飛びます。その代表がブタクサやヨモギ、イネ科の雑草です。ブタクサやヨモギは道端や土手、野山など身近な場所に生育します。雑草は背丈が低いから遠くまでは飛ばず、生育場所などの近くで花粉が多く飛散するといわれています。また、春先に猛威を振るったスギ花粉も、夏に作られた花芽が多すぎると、冬眠前に一部が飛散するといわれています。専門家は「今年の夏は猛暑だった東日本では、10月にある程度飛散する可能性が」と予測しています。

ブタクサやヨモギなどは、大都市近郊の住宅地付近でも良く見られる雑草です。背丈が低いので、花粉を吸いこみやすく衣服に付着しやすい花粉です。花粉の発生源近くに近づかない事が一番ですが、春先の花粉症対策と同じく、マスクやメガネやなどで防ぎ症状が良くない時は、抗ヒスタミン剤など花粉症用の薬を使いましょう。また、室内に持ちこまないため外出から帰ったら、玄関先などで衣服についた花粉を取り払うことも大切です。布団や洗濯物を干した時も同じです。特に布団は掃除機を1㎡あたり20秒以上かけ、花粉などを吸収するとかなりの花粉などが取り除かれます。

都内の病院では「10月頃になると喘息の外来患者が通常の2倍近くになると」と言っています。夏場に繁殖したダニが死骸となり乾燥し粉々となり、ホコリと一緒に屋内を漂います。体内に取り込むと、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎のもとになると言われています。ダニ以外にもチャバネゴキブリやユスリカなどの昆虫の死骸も悪影響を与えています。
また、ペットの唾液のついた毛やフケも原因の一つとされています。

ハウスダスト対策で日常生活で出来る予防法は、できるだけ毎日掃除し、寝室は特に念入りに掃除することが一番です。カーペットなどのダニや花粉を取り除くには排気循環式掃除機が有効とされています。毎日が無理なら1帖あたり30秒以上の掃除機げけを週2回以上を、それも難しい状況なら、長時間過ごす布団の掃除機がけの徹底が大切です。
また、ペットの飼育環境を整え、定期的にシャンプーして清潔な状態を保ち、ペット用のダニ予防薬や駆除剤も活用します。


こまめに掃除や換気を実行することが、ハウスダストの影響を最小限に減らす手段なのです。


2014年9月5日金曜日

家具基材(MDF)のホルム濃度

シックハウス対策として改正建築基準法が施行され、ホルムアルデヒドとクロ
ルピリホスが規制されました。クロルピリホスは住宅などへの使用が禁止とな
り、ホルムを発散する建材は、使用面積に応じた制限がかかっています。

規制対象となる建材や塗料などには、F☆☆☆☆・F☆☆☆・F☆☆と表示され
ています。現在の住宅用建材や副資材は殆どがF☆☆☆☆を使用しており、単
体の建材ではホルムの放散は抑えられていますが、住宅全体で使用される建材
の使用面積はかなりの面積となり、場合によっては国の求めているホルムアル
デヒドの指針値0.08ppmを超えてしまうケースも少なくありません。

日本ではこのような規制があり建材メーカーもそれに準拠して、各種建材を製
造していますが、海外からの輸入資材にはこの規制がかかっていない資材もあ
り、室内の空気質悪化の原因ともなっています。

このように建材等には国の規制がありますが、【家具】については国としての
規制はありません。また、業界としての統一された自主規制もないと言われて
います。

新築住宅で引き渡し時に室内の空気質測定を行い、指針値0.08ppm以下で引き
渡しても家具が入り、家具等から放散される化学物質により指針値を超えてし
まいその対処や、ニオイの相談が寄せられることも、ままあります。欧米諸国
からの輸入家具や東南アジア製の家具も大量に日本に入ってきています。その
家具の基材となるのがMDF(中質繊維板)で、多く使われています。

最近ある家具メーカーの東南アジアの現地工場での、MDFのホルムアルデヒド
濃度を測定しました。その結果、ホルムアルデヒドの放散量は、国の指針値
0.08ppmをはるかに超え、1時間当たり放散量は2.788ppmと1.476ppmと指針値の
35倍、18倍という大きな値となりました。これほどの濃度とは思わなかったの
で驚きです。

家具となる場合には、このMDFに印刷されたシートを張り製品として出荷され
るので、ホルムアルデヒドの放散は減衰されると思われますが、それでもかな
りの放散はあると思われます。特に勉強机や各種収納家具、シューズケースな
どは東南アジアで生産された物が多く輸入されています。勉強机などは子ども
が使用する時間が長く、免疫力の小さな子どもへの影響は強く懸念されるとこ
ろです。

一日も早い国の法整備や、MDFのホルム放散を抑制する新しい技術の開発が求
められます。また、家具が入った後の空気質測定なども必要なことと思われま
す。


2014年9月2日火曜日

「睡眠指針2014」 8時間睡眠は?(2)

睡眠時間が通常より短くなると作業ミスが増える事は、米国での実験で実証されていますが、「適切な睡眠時間は個人差や年齢差があり、一律に8時間とは決められない」というのが専門家の共通認識です。
また三島部長は「睡眠不足が続くと体の負担になる。強い眠気に襲われるだけでなく高血圧や糖尿病、うつ病などになり易くなる」としています。


記事の中で【眠りにまつわるウソ・ホント】では幾つかの例が紹介されています。




など、今までの通説は科学的な根拠は薄そうです。

いずれにしても、睡眠には心身の疲労を回復します「良い睡眠で、からだもこころも健康に」が、極めて重要な事です。
また、良い睡眠のためには環境づくりも大切です。寝室や寝床の中の温度や湿度は、体調調節の仕組みを通して、寝つきや睡眠の深さに影響します。心地よいと感じられる温熱環境を保つためには、住宅でのきめ細やかな配慮もまた重要なことです。




2014年9月1日月曜日

「睡眠指針2014」 8時間睡眠は?(1)

厚生労働省健康局が「健康づくりのための睡眠指針2014」を公表しています。この指針には【睡眠12個条】として、12項目にわたり睡眠についてその重要性と注意すべき点について解説しています。

その中には、「睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることがわかってきた」ことや、よく言われる「睡眠時無呼吸症候群は治療しないでおくと、高血圧、糖尿病、ひいては不整脈、脳卒中、虚血性心疾患、歯周疾患への危険性が高い」ことなどを指摘されています。

また、若年世代では平日に比べ、休日には起床時刻が2~3時間程度遅くなることが世界的に示されているが、起床時間を3時間遅らせた生活を2日間続けると体内時間が45分程度遅れるそうで、長期の休みの後などの生活リズムの回復には注意が必要です。

日本人の睡眠時間は6時間以上8時間未満の人がおよそ6割を占めていますが、加齢とともに睡眠時間が短くなりますが、健康で病気でない人は20年ごとに30分ぐらいの割合で減少していくことが分かっています。

18時間は寝ましょう」小さい頃、こう言われた記憶を持つ人は多いでしょう。日経新聞の720日号に「眠りの通説について」の記事が掲載されました。

8時間に充分な科学的な根拠はない」と国立精神・神経医療センターの三和部長は指摘しています。