H27年1月に福岡市黄砂影響検討委員会が開催され、その議事録が公表されています。
その中で、「PM2.5」や「黄砂に付着している微生物」が取り上げられています。
前にこのブログでも掲載しましたが、PM2.5飛散日や黄砂日の4日後に診療患者が増えることなどが述べられています。
昨年5月末の黄砂の調査では、黄砂由来の砂成分のPM2.5と、中国大都市由来のPM2.5のそれぞれについて、試料を採取し動物実験を行った結果では、PM2.5より黄砂由来のPM2.5の方が影響が大きかったとしています。
化学物質は大都市由来のPM2.5の方が多く入っているが、微生物量は黄砂由来の方が多く、量的には4~5倍多いそうです。
これは、微生物は大気中を浮遊しており、また、海由来のミストにも多く含まれ長距離飛来の間に砂の粒子に付着するためです。
また、意見として、工場由来の汚染物質については化学物質が含まれているので発がんなどの長期的影響が懸念され、黄砂の場合は、微生物によって惹起される炎症のような短期的影響が懸念されるとあります。
黄砂に付着する微生物についてはかなり前より研究が行われています。
黄砂は指で摘まむのも難しいですが、数マイクロ(100万分の1メートル)の微生物・細菌にとってはボードほどの大きさとなります。
2009年大分県立看護科学大学の市瀬教授は「黄砂は微生物を運ぶ箱船として注目される」と指摘しています。
黄砂粒子からは化学物質などの大気汚染物質の他に、金沢大学の研究では、カビや酵母、土壌に生息する枯草菌、肺の化膿性炎症を起こす細菌類も付着していることを明らかにしています。黄砂が飛来しているときは、空気に含まれるカビや細菌などが黄砂が飛んでいない時に比べ約5倍近く多いとの観測データもあります。
黄砂は中国内陸の乾燥地帯で舞い上げられますが、その総量は年間数億トンに達し、日本まで飛んでくるのも数百万トンと推定されています。
その黄砂に付着する微生物の総量もまた膨大な数となります。
黄砂を微生物と関連づけた研究はまだここ数年のこと、どのような微生物やどのような影響をもたらすか、その研究成果の発表が待たれます。
いずれにしてもこれから黄砂シーズンの始まりです。
黄砂とPM2.5、そして花粉、自らがきめ細かな防護策をとりましょう。
黄砂の飛来が予測されるときは、外出を控えたり、マスク・メガネの着用や、室内に黄砂を取り込まないよう窓を開けないことや、洗濯物を外に出さないなどの対策が必要です。
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