東京都健康長寿医療センターでは、「冬場の住居内の温度管理と健康について」として、これからの時期心配される「ヒートショック」についての予防と対策を発表しています。
その中で「居室の断熱改修による睡眠、アレルギー症状、血圧の改善等」についての調査内容を公表しています。
同センターでは断熱改修の前後における居住環境と、高齢者の健康について調査を実施致しました。東京と埼玉で築20年以上の戸建住宅に住む高齢者(59歳~85歳)を対象に、内窓の設置のほか、壁や床への断熱材取付け、及び、床暖房の設置等の断熱改修を実施。この改修の前後で、室温や血圧の測定、健康に関連するヒアリングなど行い2011年から約1年間をかけてデータをまとめました。
1.
居室の断熱改修は、睡眠やアレルギー症状に良い影響を与える。
鼻や眼のアレルギーに関連する、くしゃみ、鼻づまり、涙目等の7項目について、アンケートを実施したところ、改修後は症状が減った。
睡眠習慣についても同様に「睡眠の質」が改善された。
2.
居室の断熱改修は、血圧の低下や安定化に効果的である可能性を示唆。
断熱改修後に、血圧の安定化を示唆する変化が見られた。
2010年実施の高齢者43人(77~86歳)への調査によると、部屋全体が暖まっている「適温」での生活が、血圧の上昇を抑え、安定化に効果的である事が判明した。
3.
居室全体を暖房し室温が高いと活動量や筋力も高い
暖房方式と居室の室温、活動量には関係があり、部屋全体が暖まっている「適温」で生活している高齢者は、活動量が高いという結果に。
こたつやカーペットのみを使っている高齢者の「住宅内で歩行活動以上の活動量」の割合は0~30%に対し、部屋全体を暖房している高齢者の活動量は0~50%と、活発な事が分かる。
居室全体を暖房している高齢者の握力は、部分暖房の高齢者より高く、また、膝屈伸
力も大きい。
居室の効果的な断熱改修等について、同センターは比較的やり易い方法を紹介しています。
冬場の居室では、熱の48%が窓から逃げています。また換気を上回る熱が壁から逃げています(換気17%・外壁19%・屋根6%・床10%)。
①
窓の断熱方法
・内窓等の設置や窓ガラスを単体ガラスから遮熱複層ガラスへ交換。
・ガラス面に断熱シート、断熱フィルムを貼る。
・暖房時にカーテンやブラインドを閉める、すき間テープ等で窓の隙間をふさぐ。
②
床の断熱・暖房方法
・床断熱材工事を行う。
・断熱シートや厚手のカーペットを敷く。
・床暖房を行う。
③
壁の断熱方法
・断熱材の設置はいろいろの方法がありますが、壁の内側に断熱パネルを取り付ける方
法は一部屋単位での設置が可能で、比較的手軽な工事で設置できます。
・
報告書では「これからの寒い季節に備え、簡単な施工で、コスト負担も少ない断熱改修や、こたつやホットカーペットのような局所暖房でない居室全体を暖める床暖房等を取り入れることは、居住者の健康に大変重要です」としています。
公表された内容は従前から良く言われていたことですが、エビデンスを集め実証したこともまた重要な事です。高齢者にとって「暖かい」ということは何にもまして良い環境です。動く事により筋力をつけ、自分で動きまわることが、寝込まないための大切な事です。
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