東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(仙台市)では12月17日、宮城県内の小中学生を対象に行った健康調査で、東日本大震災で津波を経験した子供や、居住環境が変化した子供は、アトピー性皮膚炎や心の問題を抱える割合が比較的高いとする調査結果を発表しました。
調査対象は、県内25市町村の公立小中学校等の児童生徒2万1千人弱にアンケートを配布し、保護者が記入し6,500人弱から回答がありました。
調査では、アトピー性皮膚炎を発症していたのは、津波経験のない子供が20.5%に対し、経験のある子供が24.5%。
震災後の居住環境に変化がない子供が20.4%に対し、変化のあった子供は23.1%。
いづれも大震災を経験した子供の発症率が高くなっています。
子どもの精神衛生状態を調べる指標「SDQ」を用いた調査の結果、「支援必要性が高い」とされる16点以上だった子供は、津波経験のない子供が14.8%、経験のある子供が18.4%。居住環境に変化のない子供が14.2%、変化した子供が18.7%でした。
ともに経験のある子、環境の変化があった子供が多くなっています。
同機構の菊谷準教授(疫学)は震災を経験した子供に発症が多いことについて「仮設住宅などに移住して入浴回数が少なくなるなど生活の変化があったり、震災のストレスで症状が悪化したりしたのでは」と分析。SDQの高さについては「震災から3年がたってもまだ子供たちの心に影響が残っていると言える」としています。 (出展:産経新聞)
同機構ではH24年度より宮城県内の小中学生の保護者を対象に「地域子ども長期健康調査」を実施しています。
H25年度調査の<こころの健康>についての中で、「居住環境の変化があった子供で、生活の中で心配な行動などの何らかの難しさを抱えていると思われる」子どもは小・中学生で18.9%に上り、毎日の生活で物理的・心理的な生活環境の変化が、大きなストレスになっているようです。
来年3月には被災から満4年が過ぎようとしています。復興住宅の建設も計画の遅れが声高に言われていますが、全体の風潮では記憶そのものがだんだん薄くなりつつあるようです。
一日も早く被災した子どもたちの<こころの健康>が、明るいものになる日が望まれます。
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