2015年3月27日金曜日

省エネルギー設備等の普及 太陽熱利用から太陽光利用へ

総務省統計局から平成25年住宅・土地統計調査が公表されています。その中に「省エネルギー設備等の住宅への普及について」の調査があります。

「太陽光を利用した発電機器あり」の住宅は157万戸、普及率は平成20年調査に比べ3倍とのことです。5年前に比べて105万戸の増加で、住宅の所有関係別では、持家では148万戸で持家全体の4.6%である一方、借家では9万戸で借家全体の0.5%と、借家への普及率は依然低い状況となっています。

太陽光を利用した発電機器のある住宅数の推移-全国 (万戸)
調査年
総数
持ち家
借家
平成15
280.6%)
260.9%)
20.1%)
平成20
521.0%)
501.6%)
30.1%)
平成25
1573.0%)
1484.6%)
90.5%)

都道府県別では、西日本や太平洋側の地域で、居住世帯のある住宅に占める太陽光を利用した発電機器がある住宅の割合が高くなっています。

    太陽光を利用した発電機器のある住宅数―都道府県(平成25年)(万戸)


居住世帯の
ある住宅数
太陽光を利用
した発電機器
がある住宅数
割合
1
佐賀県
29
2
7.5
2
宮崎県
46
3
6.7
3
長野県
78
5
6.4
4
山梨県
33
2
5.9
5
熊本県
69
4
5.7


他の省エネルギー設備についてみると、5年前に比べて「太陽熱を利用した温水器等あり」の住宅は220万戸で42万戸の減少(-16.1%)、「二重サッシ又は複層ガラスの窓あり」の住宅は1315万戸で271万戸(26.0%)の増加となっており、太陽熱利用温水器を設置の住宅が減少している一方で、太陽光発電機器設置の住宅の普及が進んでいます。


単なる太陽熱利用から太陽光利用による発電へと、省エネ技術の進歩とともに、、国の進めるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の施策と相まって居住者の意識も大きく変わりつつあるようです。



2015年3月26日木曜日

洗濯用パック型液体洗剤 3歳児以下の乳幼児に事故急増!

国民生活センターは318日のニュースリリースで「洗濯用パック型液体洗剤に気を付けて!」との注意を呼び掛けています。

洗濯用パック型液体洗剤は、新たな形の洗濯用洗剤として、日本でも製造販売が行われ、計量の必要がなく簡便という利点から使われ始めています。

消費者庁に寄せられた事故概要では、平成264月の発売開始以来平成271月末までの間に、消費者庁には延べ152件の事故情報が寄せられているとのことです。またこの事故情報の内訳は3歳以下の乳幼児が110件(72.4%)と大半をしめています。ほとんどの事例が、フィルムが破れ中身が出て口や目に入ったというものです。

国民生活センターのテストでは次のような検証をしました。
【子どもが口に入れるとフィルムが破れることがある。】
 特に3歳児までの子どもの行動特性の一つに、身のまわりにある物を口に入れて調べようとすることがあります。こうした行動特性は生後6か月頃を過ぎるとあり、掴んだものを口にすることは発達段階の一つで、反射の一つとも考えられています。

テストでは幼児が同洗剤パックを手に取り口に入れ噛んだ場合、手に取って口に入れた後握った場合を想定し、夫々テストしました。

その結果、口に入れ唾液やよだれが付着し噛んだ場合を想定し、水を垂らし荷重をかけたところ、フィルムが破れ、液体洗剤が漏れ出しました。また濡れた手で軽く握った場合でも、簡単に割れたとの結果でした。

また、パック型液体洗剤を濡れたまま保管すると、洗剤同士がついてしまい、剥がそうとすると、破れて中身がはね出ることもあるそうです。

国民生活センターではこのテスト結果を得て、【消費者の皆様へ】として次の注意を呼び掛けています。
①洗剤は子どもの手の届くところにはおかない。
②洗剤を使用後は、必ずふたをしっかりと閉め、決まった置き場所にすぐ戻すよう習慣づける。
③パック型液体洗剤を濡らさぬように気を付ける。

万が一飲んだりした場合の対処法
①飲んでしまった場合
 できるならば口をすすがせ、水又は牛乳を少量飲ませて、受診する。吐物が気管にはいってしまうおそれがあるため、無理には吐かせない。
②目に入ってしまった場合 
 こすらずに、すぐに水で10分以上洗い流して、受診する。
 受診の際、目に入った成分が記載されたパッケージなど持参すると良い。
③皮膚についた場合
 すぐに大量の流水で洗う、付着した衣服は脱ぐ。


洗濯用パック型洗剤はその利便性から、ますます使われると思われますが、乳幼児の手の届きにくい場所に置くことや、床に置いた隙に子どもが触ってしまうことがないよう、使用後は必ずフタを閉める習慣づけなどが事故防止の第一歩としています。



2015年3月19日木曜日

中国「PM2.5」のいま

中国から飛来するPM2.5について数年前から大きな環境問題、大気汚染問題として報じられてきました。日本においては空気清浄器や換気設備などで、いかにPM2.5を除去できるかの技術開発が行われ、続々と新しい機能を備えた機種が発表されています。

PM2.5の発生源と見られる中国でも重大な環境問題・健康被害問題として取り上げられ、国としての改善策が打ち出されていますが、まだまだその効果は上がっていないようです。

中国の現状はどうなっているのでしょう・
本日31212時に更新された北京のリアルタイム大気質指標(AQI)は、ここ2日間の微小粒子状物質「PM2.5」を含む汚染の指数は402に達し、最悪レベルの「重汚染(米国分類=Hazardous:危険)と報じています。この中国の“重汚染”は<屋内に留まり、体力消費を避ける。すべての者は、屋外活動を中止>のレベルとしています。

報道によると、2013年は中国31都市の約257000人の死亡にPM2.5が影響を及ぼし、特に石家庄、済南、長沙、成都、南京、武漢の六都市は平均すると10万人中114人以上がPm2.5の影響で命を落としているとのことです。

また、中国メディアの北京晨報が、「北京で最も発生率の高いがんは肺がんで、次いで大腸がん、胃がんの順。過去10年間で肺がん発症者は43%増加し、特に35歳以上の肺がん発症率が急上昇している」と報じています。

中国環境保護省が発表した2014年の大気汚染状況によると、微小粒子状物質「PM2.5」などの年間平均濃度が環境基準内に収まったのは、主要74都市のうち8都市にとどまり、前年の3都市から増えたものの「依然として中国の大気汚染は深刻だ」としています。王安順北京市長は「今の北京は確かに居住に適した街ではない」と発言、波紋が広がっています。

政府系シンクタンクの国務院発展研究センターは、中国の主要な大気汚染物質の排出総量が2016年~20年の間にピークを迎えるとした研究結果を明らかにし、「汚染物質を現在のレベルから60%以上削減しなければ、明らかな改善は実現せず、この過程には20年前後の時間が必要」と発表しています。
その中で、大気については、二酸化硫黄や窒素酸化物などの排出は既に増加から減少への転換期を迎えたが、揮発性有機化合物(VOC)や重金属などのピークは今後510年の間と予測し、環境対策に関し「20年前後までが重要な時期となる」と強調しました。

60%の削減・20年間の期間”いずれも大変な目標と時間ですが、ここまでの事をやらないと中国の大気汚染問題は解決しない問題です。
増え続ける人口問題、好調な経済を支え続ける生産活動、石炭を主とするエネルギー問題など、大きな課題が山積しています。


しかし、日本にとっても中国から飛散してくるPM2.5などは放置できない問題です。日本がかっての環境汚染を克服してきたように、日本の技術も大いに活用し、少しでも中国の環境改善に役立てばと考えます。



2015年3月18日水曜日

スギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度(福島県)

未曾有の東日本大震災と福島第一原発事故から4年が経ちました。復興も予定より大きく遅れ、多くの方がいまだに大変なご苦労を重ねています。

林野庁は平成271月に「スギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度」を公表しました(この調査は福島県内です)。

花粉飛散の最盛期を迎えていますが、林野庁は「森林に降下した放射性物質が、スギ花粉の飛散により再拡散することが懸念される」ことから、福島県内でH23年度及び24年度の秋にスギ花粉の放射性セシウム濃度をスギ雄花から予測する調査を実施しました。

24年度の放射性セシウム濃度は平成23年度の同じ調査地の値と比較すると、全体としては半分程度に低下していますが、森林内には放射性セシウムが存在しており、平成25年度も同じ福島県内24地点で調査を行いました。やはり空間線量の高い地域では雄花中の放射性セシウム濃度も高いとのことです。

今回調査した各地点の値を同一地点の平成23年度の値と全体的に比較すると、平成24年度は平成23年度の半分程度、平成25年度は2割程度、さらに平成26年度は1割程度に
濃度が低下していたとのことです。

また、今回調査のスギ花粉に含まれる放射性セシウム濃度は1キログラムあたり約25千ベクレルであり、平成23年度の最高値と比較すると、平成24年度は1/3に、平成25年度は1/4程度、平成26年度は1/10程度に濃度が低下していました。

以上のことから林野庁では、今回調査の最高濃度の放射性セシウムがスギ花粉に含まれ大気中に飛散し、これを人が吸入した場合に受ける放射線量を、これまでと同様の前提条件で試算をしたところ、1時間当たり最大0.0000215μSvとなり、平成23年度試算の1割程度になっているとのことです。(平成26121日の東京都新宿区で観測された放射線量は1時間で0.036μSvです)

この調査により年々その値が低下している事は分かりますが、セシウムの場合、放射線量の減衰割合は0年を1.0とすると、4年後は0.4410年で0.24となりますが、セシウム137の場合は半減期が30.2年と長期間にわたり、原発事故の後遺症が後のちまで人々の生活に大きな影響を与えているかが分かります。

この調査は福島県内が対象ですが、その他の地域ではどうなのかなど知りたいものです。


2015年3月17日火曜日

2013年度 住宅相談と紛争処理の状況

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターから2013年度の「住宅相談と紛
争処理の状況」が発表されています。同センターへの2013年度の<相談件数>
は新規件数で約2.1万件(前年度比18%増)と年々増えています。うち「新
築住宅に関する相談」は約1.5万件(同15%増)、「リフォームに関する相
談」は9千件(同18%増)となっており、新築・リフォーム共に増加していま
す。新規件数はこの13年間で急増し約5.4倍となっており、特に2008年頃よ
り急増し、紛争処理に第三者の関与を求める傾向が顕著となっております。

相談者の解決希望内容の第1位は「補修」が51%と約半数で、ついで「損害
賠償」10%、「契約解消」9%と、昨年同様に金銭での解決を望む相談が上
位です。弁護士会と連携して、弁護士・建築士との面談による「専門家相談」
の件数は2013年度では1.3千件(前年度比18%増)と、相談を開始した
2010年度の約2倍強となっています。

このうちリフォームに関する相談が約半数をしめ、住宅形式では、戸建住宅が
82%となっています。不具合が多く見られる部位は、戸建住宅では、第1位
「外壁:ひび割れ・雨漏り」19%、第2位「床:床鳴り・変形」18%、第
3位「屋根:雨漏り・はがれ」16%と、雨漏りのクレームが依然として多い
ことをしめしています。

消費者がリフォームをする際に、見積もりを取った事業者の社数は「1社」が
65%と前年度より増えています。インターネットによる情報が多く流れるな
か、「1社」のみの消費者が増えているはやや意外ですが、事業者側も提供す
る情報量・質をより充実することが求められています。見積もり相談では、「
単価や合計金額は適正か」89%、「工事内容や工事項目は適正か」54%と、
消費者は見積り金額や工事内容に疑問・不安をもっていることが分かります。

また、同センターでの紛争処理の住宅種別では「戸建注文住宅」57%、「戸
建分譲住宅」17%と、戸建住宅の紛争処理が大きなウェートをしめています。
争点となった主な不具合事象は戸建住宅では、「ひび割れ:基礎・外壁」26
%、「変形:床・開口部・建具」12%、「汚れ」11%で、この3事象とも
前年度より増えています。住宅引き渡しから紛争処理申請までの期間は、「半
年以上1年未満」22%、「1年以上2年未満」31%と、2年未満が半数を
超えています。クレームの早期解決が、紛争処理申請など双方の負担回避の早
道です。審理回数では「~5回」66%で、平均4.7回となっています。11
回を超える審理も5%あります。

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターに持ち込まれる、相談件数、紛
争処理申請件数の年々の増加は、消費者がクレームに対し入手しやすくなった
各種情報を基に、当事者だけの解決でなく、第三者の公正な意見を求めている
現れです。クレームは内容が煩雑で、解決まで<時間・人・費用>が掛かりま
す。

消費者には事業者として日頃から不安・疑問点の解消に向けた丁寧な説明、分
かり易く明解な見積書、しっかりとした現場管理と適正な品質管理、そして何
よりも「見える化と十分なコミュニケーション」が重要です。


2015年3月10日火曜日

身近な家具の化学物質規制

前にこのReN通信で【家具基材(MDF)のホルム濃度】としたブログを載せました。日本国内で建築に使用される建材・塗料などは、建築基準法によりいわゆるF☆☆☆☆規制により、使用面積等が制限されています。しかし、一方では室内等で使用される家具については国の規制がなく、業界としての統一された自主規制もないようです。各家具メーカーの自社基準に委ねられているのが現状です。

学習机が大ブレークする季節です。家具店などで販売されている学習机には、法に基づく化学物質の規制値はありません。日本の大手メーカーはそれぞれにF☆☆☆☆材の使用や安全な塗料の使用を謳い「低ホルム化」としていますが、家具から放散されるホルムアルデヒドなどの化学物質の数値としてのデータは公表されておりません。

ただ無印良品はHPで同社の家具13種の「ホルムアルデヒド放散実測値」を公表していますが、このような例は殆どなく、消費者に対しこのようなデータを公表することは良心的な事と考えます。

文部科学省では20113月に「健康的な学習環境を確保するために 有害な化学物質の室内濃度低減に向けて」を公表しています。施設面での化学物質濃度低減について様ざま留意点など示すともに、<学校用家具の導入時の留意点>として、家具の発注の際、「学校環境衛生基準」で示されているホルムアルデヒド等の揮発性化合物の放散量を指定するなどの、指示を明確にすることとしています。

備品等が搬入された場合には、開梱・稼働初期の段階において、特に木製の家具は引き出し等を開放した状態にして、できるだけ長時間当該教室の窓を開け十分に換気を行う”としています。また、床ワックスも13化学物質を含むものは原則使用しないことや、芳香剤・消臭剤についても使用について注意を喚起しています。


学習机などは子どもが比較的長い時間向き合うことが多く、子どもが健康で健全であるために【安心・安全】な机や家具が絶対要件です。国も家具業界、家具メーカーの自主規制でなく、早急にしっかりとした法整備を行う事を強く求められています。また、各家庭のおいても室内空気質や家具からの化学物質放散にも関心を持ち、その改善を行っていくことも、家族の健康のため極めて大切な事と考えます。