2015年3月17日火曜日

2013年度 住宅相談と紛争処理の状況

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターから2013年度の「住宅相談と紛
争処理の状況」が発表されています。同センターへの2013年度の<相談件数>
は新規件数で約2.1万件(前年度比18%増)と年々増えています。うち「新
築住宅に関する相談」は約1.5万件(同15%増)、「リフォームに関する相
談」は9千件(同18%増)となっており、新築・リフォーム共に増加していま
す。新規件数はこの13年間で急増し約5.4倍となっており、特に2008年頃よ
り急増し、紛争処理に第三者の関与を求める傾向が顕著となっております。

相談者の解決希望内容の第1位は「補修」が51%と約半数で、ついで「損害
賠償」10%、「契約解消」9%と、昨年同様に金銭での解決を望む相談が上
位です。弁護士会と連携して、弁護士・建築士との面談による「専門家相談」
の件数は2013年度では1.3千件(前年度比18%増)と、相談を開始した
2010年度の約2倍強となっています。

このうちリフォームに関する相談が約半数をしめ、住宅形式では、戸建住宅が
82%となっています。不具合が多く見られる部位は、戸建住宅では、第1位
「外壁:ひび割れ・雨漏り」19%、第2位「床:床鳴り・変形」18%、第
3位「屋根:雨漏り・はがれ」16%と、雨漏りのクレームが依然として多い
ことをしめしています。

消費者がリフォームをする際に、見積もりを取った事業者の社数は「1社」が
65%と前年度より増えています。インターネットによる情報が多く流れるな
か、「1社」のみの消費者が増えているはやや意外ですが、事業者側も提供す
る情報量・質をより充実することが求められています。見積もり相談では、「
単価や合計金額は適正か」89%、「工事内容や工事項目は適正か」54%と、
消費者は見積り金額や工事内容に疑問・不安をもっていることが分かります。

また、同センターでの紛争処理の住宅種別では「戸建注文住宅」57%、「戸
建分譲住宅」17%と、戸建住宅の紛争処理が大きなウェートをしめています。
争点となった主な不具合事象は戸建住宅では、「ひび割れ:基礎・外壁」26
%、「変形:床・開口部・建具」12%、「汚れ」11%で、この3事象とも
前年度より増えています。住宅引き渡しから紛争処理申請までの期間は、「半
年以上1年未満」22%、「1年以上2年未満」31%と、2年未満が半数を
超えています。クレームの早期解決が、紛争処理申請など双方の負担回避の早
道です。審理回数では「~5回」66%で、平均4.7回となっています。11
回を超える審理も5%あります。

(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターに持ち込まれる、相談件数、紛
争処理申請件数の年々の増加は、消費者がクレームに対し入手しやすくなった
各種情報を基に、当事者だけの解決でなく、第三者の公正な意見を求めている
現れです。クレームは内容が煩雑で、解決まで<時間・人・費用>が掛かりま
す。

消費者には事業者として日頃から不安・疑問点の解消に向けた丁寧な説明、分
かり易く明解な見積書、しっかりとした現場管理と適正な品質管理、そして何
よりも「見える化と十分なコミュニケーション」が重要です。


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